目次
漫画再現飯「常在戦場の食堂」参謀本部名物”シュラハトプラット”と”K-Brot”作ってみた!!『幼女戦記』東條チカ/カルロ・ゼン
1.塩と酸味のファシズム!!参謀本部の名物”シュラハトプラット”!!
2.”シュラハトプラット”と”K-Brot”と”鉄条網”
3.”常在戦場食堂の名物メニュー”の材料
4.常在戦場食堂の名物メニュー”シュラハトプラット”&”K-Brot”作ってみた!!
5.”常在戦場食堂の名物メニュー”作った感想
6.エピソード収録巻
最新再現「マンガ飯」
塩と酸味のファシズム!!参謀本部の名物”シュラハトプラット”!!
さて、今回再現したマンガ飯は『幼女戦記』Kapitel.08「軍大学Ⅲ 即応魔導大隊構想」より参謀本部第一晩餐室にてターニャが食べた、参謀本部名物「シュラハトブラット」および「K-Brot」&「鉄条網」です!!
シュラハトプラットというのはドイツの定番料理です。
作中では酷い扱いですが、この料理は本来とても美味しいものなんですよ。。
参謀本部の「常在戦場食堂」でこの料理を一口口に入れたターニャの評価は…
” 塩と酸味のファシズム!! “
ファシズムというのは”結束主義”と呼ばれる思想ですが、広義には単に”全体主義”という意味にも使われたりします。「全体主義」というのは、本当に簡単にいえば、”個人は全体に従え”という思想です。
まあ、僕は”政治・思想”は門外漢なので…。

ターニャのいう”塩と酸味のファシズム”というのは、塩と酸味によって他の食材の味全てが殺されてしまっている的なニュアンスなのかな…。
作中では”粗食でよしとする陸軍精神”から、参謀本部の食堂は食事の最底辺を争うレベルと言われています。
とはいえ、何もわざわざ“まずさ”まで再現する必要もないので、ここではきちんとしっかり調理したらどれくらいの皿になるかを作ってみたいと思います!!
ちなみに、美味しく作る云々を差し置いても、実を言うと本当に本当の本場のシュラハトプラッテは作中で描かれている(というか日本で認識されている)ものとは全くの別物です。こちらに本場ドイツのシュラハトプラッテの本格レシピを書いているので、興味があればどうぞ!!
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“シュラハトプラット”と”K-Brot”と”鉄条網”
「シュラハトプラット」というのは、豚の塩漬けやヴルストなどをザワークラフト(キャベツの塩漬け)とともに蒸し煮にした料理です。ザワークラフトの酸味と塩漬け豚の塩みが絶妙に合わさる一品…のはずなのですが…。
食したターニャが硬直し痙攣するほどのまずさ笑

“常在戦場を思い出す味”とまで評されています。
さらに、そんな「シュラハトプラット」に添えられていたのは「K-Brot」と「鉄条網」。
「K-Brot」というのは、実際に第一次世界大戦の頃にドイツで作られていたパンで、小麦粉にジャガイモの粉を混ぜた生地を焼いています。知る人ぞ知る有名パンの一つだそうです。
第一次世界大戦中の大飢饉”カブラの冬”に、食糧難を打開すべくパンの10%をジャガイモの粉で代用したものです。
作中では“生乾きの雑巾味”と評されていますが、実際にも相当にひどい味だったそうで、ドイツでも“鳥も食べない”というジョークすらできているほどだそう。

ちなみに、僕は軍事マニアではないので、このK-Brotの厳密な作り方は知りません。今回はドイツで最もよく食されている「ミッシュブロート」をアレンジして”なんちゃってK-Brot”を作ります。
一方「鉄条網」というのは“乾燥してパリパリになった野菜を軍隊ではオシャレにこう呼ぶ”のだそうです笑
使われている野菜は、人参とジャガイモとキャベツですね。
しかし「鉄条網」か…。流石に乾燥させてパリパリにするのはなぁ。。かといってそのまま作れば全く「鉄条網」要素がない…。と、迷ったのですが、やっぱり食べて美味しいのが一番ですから、普通にみずみずしいお野菜をいただくことにします。
では、「常在戦場食堂の名物メニュー」実際に作っていきましょう!!

“常在戦場食堂の名物メニュー”の材料
<シュラハトプラット>
[ザワークラフト] | [豚の塩漬け] | [その他] |
・キャベツ | ・豚ブロック肉 | ・ジャガイモ |
・塩 | ・塩 | ・ヴルスト(2,3種) |
・水 | ・玉ねぎ | |
・ローリエ | ||
・クローブ | ||
・白ワイン |
<K-Brot>
・強力粉:170g
・ライ麦:100g
・サワー種:30g
・マッシュポテトフレーク:30g
・ドライイースト:4g
・水:225g
・塩:8g
<鉄条網>
・サニーレタス
・ジャガイモ
・ベーコンフレーク
・人参
ヴルストは手作りしても良かったのですが、今回は購入したものを使います。
豚肉も本来であれば”スネ肉”が使われるのですが、残念ながら近所のお肉屋さんはどこも取り扱っていなかったので、骨つき肉と肩ブロックを使いました
常在戦場食堂の名物メニュー”シュラハトプラット”&”K-Brot”作ってみた!!
<事前準備1:ザワークラフト&豚肉の塩漬け(3日~1週間前)>
ザワークラフトは、キャベツ、塩のみで作ることができます。ザワークラフトの酸味は乳酸発酵によるものです。作り方は以下の通り。
- キャベツは千切りにします。
- ボウルに入れてキャベツの重量の約2%程度の塩を加えます。
- 塩を全体に満遍なくしっかりと揉み込みます。
- おもしを乗せて常温でおいておきます。1、2日程度で、キャベツから水分が出て、ひたひたになります。その状態になれば、小さめの容器に移して冷蔵庫に入れて寝かせておきます。3日もすれば酸味が出て、ザワークラフトらしさが出てきます。

一方、肉の塩漬けには、塩水を使います。では簡単に手順を…。
- 塩水は約3%のものを作ります。
- 袋に塩水と豚肉も入れて、冷蔵庫で3日~1週間寝かせておきます。

<事前準備2:K-Brotの仕込み(~3時間前)>
お次は戦時パンK-Brotを仕込んでいきましょう!!
- まず小さめのボウルにイーストを入れ、水を加えて溶かしておきます。
- ボウルに、強力粉、ライ麦粉、マッシュポテトフレーク、サワー種、1のイーストを合わせて、箸などでかき混ぜます。
- 手で練って生地をまとめていきます。粉っぽさがなくなってひとまとまりになれば、台の上に取り出します。
- 手のひらを使って伸ばしたり叩いたりして練り上げていきます。
- 十分に練り上がれば、ひとまとめの球状に丸め、ボウルに入れて常温で40~60分発酵させます。
- 倍ほどの大きさ膨らめば、グーで生地を潰しガス抜きします。
- ライ麦をまぶした発酵かごに再び丸め直した生地を乗せて、再度40~60分ほど常温でおいて発酵させます。
- 倍ほどの大きさに発酵したら完成です。
- 発酵が完了すればかごから取り出します。発酵かごの模様が綺麗についていますね。
- 焼いている過程での表面割れを防ぐため、生地の表面に包丁で切り目を入れます。200度に予熱したオーブンで約40分焼いていきます。



<本調理:シュラハトプラットを作る>
下準備が整っていれば、あとは簡単です。パンが焼き上がる前に仕上げてしまいましょう!!
まずこちらが完成したザワークラフトと豚肉の塩漬けになります。

では、シュラハトプラットの調理工程です。
- 鍋に薄切りにした玉ねぎとザワークラフトを敷き、ぶつ切りにした塩漬け豚肉を入れます。水と白ワインをひたひたになる程度に加えましょう。
- ローリエとクローブを入れ、蓋をして40~1時間ほど蒸し煮にしていきます。
- 肉に火が通ったら、ジャガイモを加えてさらに蒸し煮にします。じゃがいもは煮崩れしやすいので、別鍋である程度湯がいておくといいです。
- 完成する5分~10分前くらいの時点で、ブルストを加え温めておきましょう。

一応、”鉄条網”についても、簡単に言及しておくと…。
塩茹でしたじゃがいもとちぎったレタス、千切りにした人参を使います。盛り付けた後に乾燥ベーコンをまぶせば出来上がり。。

では、完成したシュラハトプラットを盛り付けて、焼きあがったK-Brotを並べれば「常在戦場の食堂」のディナーの完成です。
“常在戦場食堂の名物メニュー”作った感想
というわけで、今回はKapitel.08「軍大学Ⅲ 即応魔導大隊構想」から常在戦場食堂の名物メニュー「シュラハトプラット」と「K-Brot」と「鉄条網」を理想的(笑)に再現して見ました。

シュラハトプラット美味しい…のだけれど…。
この作り方だとやはりシュラハトプラットというよりはアルザス料理のシュークルート・ガルニ寄りですね。
ちなみに、シュークルートというのはフランス語でザワークラウトを意味する言葉で、シュークルートガルニはシュラハトプラッテに類似した料理です。詳しくはこちらをご参照ください。
実際、本場のSchlachtplatteは、ブルートブルストやレバーブルスト、さらにジュニパーベリーが入っていてかなり独特の風味を持ちます。
ご興味ある方は記事下に本格レシピ記事へのリンクを張っているので是非お試しアレ。
それにしても、これは不味く作る方が難しいですよ笑
残念ながら(?)”生乾きの雑巾”のような味はしませんでしたね笑

K-Brotも作ってみると考えていたよりはるかに美味しかったです。実際の戦争時には使っている食材ももっと劣悪なものばかりだったのでしょうから、むしろいまの食環境でそのクオリティを表現しようとすれば、逆に難しいのかもしれません。
それにしても、参謀本部の「常在戦場食堂」はちょくちょく作中でもネタにされてますが、「シュラハトプラット」が”塩と酸味のファシズム”とはひどいですね笑
“粗食”というより…もはや…。と、いうよりぶっちゃけ厨房勤務の人たち職務怠慢ではないのか…。
ターニャもこのまま彼女の望み通り、安全な後方勤務でトップまで上り詰めたら、参謀本部勤務ですよね。そうなると彼女自身の准将らへの”ご愁傷様”という言葉が自分に返ってきますね笑
エピソード収録巻

Kapitel.08「軍大学Ⅲ 即応魔導大隊構想」は『幼女戦記』第3巻に収録!!
今更ですが「塩と酸味のファシズム」は、村上龍の作品「愛と幻想のファシズム」に掛けてると思います。意義は記事の通りでしょう。
コメントありがとうございます!なるほど、そうなんですね。
「愛と幻想のファシズム」は未読なのですが、作品自体ストーリなどもどこか意識しているのでしょうかね。
一読してみようかと思います。
まずさのヒミツは使用されるジャガイモと小麦の品質が「腐りかけ」というのも
大いに味に貢献している可能性を排除してはいけない。
あ、それは確かに!!
戦中などの食糧難の時代に作られた料理は本来必要とされるものを大幅に削った名ばかりのもので
(だしや調味料が主で、あとは分量も水増しされて薄くなってるとか)
そんなものが本来の味を保てるはずが無いです。
日本においても戦中戦後の「すいとん」はよく引き合いに出ますが(汁がただの塩水とか)、
現代で祖母の作っているソレはとても美味しいですよ。
本来の味を知らずに「すいとん=不味いもの」って図式が成立しかかってて少々残念です。
それは確かにそうですね。
なるほど、「すいとん」でもそのような話が出るのですね。
本来美味しいもの(実際どんな料理もそうあるはずですが)がそうでない扱いを受けるのは悲しいことですね。
やはり何にしてもきちんと知ることが大切ですね。