漫画再現飯”じんじんこのもん”作ってみた!!『ばらかもん』ヨシノサツキ
0.『ばらかもん』簡単概要
1.半田先生も中毒化!!魅惑の味”このもん”!!
2.”じんじんこのもん”の作り方
3.”このもん”の材料
4.”このもん”を作ってみよう!!
5.”じんじんこのもん”を作ってみた感想
6.エピソード収録巻
『ばらかもん』簡単概要
『ばらかもん』は都会育ちの書道家である半田清舟が、いろいろあって五島列島で暮らしながら自分の書と向き合っていくお話で、これまで書一本に打ち込んできた清舟は島の人々との触れ合いの中で書道家として成長していきます。
と、こう書くと非常に正統派な主人公の成長譚のようなのです…が、島の人々は一癖も二癖もある変人揃いで一筋縄ではいきません。さらに清舟自身も箱入りかつ書道以外せずに育ったため、かな〜り残念なイケメンっぷり。そのダメ大人っぷりもあってなのか、なぜか島の子供たちに「先生」と呼ばれて懐かれることに…。
中でも祖父一人孫一人の家庭に育つ(父親はタンカー船勤務)小学1年生の“琴石なる”には特に懐かれ、半ば保護者のような関係になって振り回される毎日です。とまあ、とりあえず、あったかくて笑える作品であることには違いない。
半田先生も中毒化!!魅惑の味”このもん”!!
さて、今回再現してみたマンガ飯。そう“このもん”ですね。少々聞きなれない名前ですが、奥さんの”ちゃんぽん”に並ぶ『ばらかもん』定番料理です。単行本2巻Act.9「このもん」で、突然なるのじいちゃんが半田先生に差し入れる形で初登場(?)し、その後作中の各所でその存在感を発揮してくる強者です笑
“このもん”というのは、作品の舞台である五島列島の方言だそうで、これを標準語にすると”香のもの”、つまり“お漬物”を表す言葉です。ちなみに”じんじん”は”じいちゃんの”って意味です。
書を進める傍、差し入れられた”このもん”をつまむ半田先生でしたが…。徐々に”このもん”に思考を絡め取られて行き…
” 薄墨 使ってみるか… “
『ばらかもん』 ヨシノサツキ Act.9「このもん」 より引用
“もっとアーティスティックで なおかつ基本に忠実な… “
” このもん!!”
半田先生はもはや”このもん”なしには生きていけない体に…。
後日、両親が訪ねてきた際(Act.79「あさめし」)には、母親半田えみが軽く引くほどに、自分のオリジナル(スイカの皮の塩漬け)も含めた大量のこのもんを漬けています。
『ばらかもん』ヨシノサツキ Act.79「あさめし」より引用
料理に関しては過去に”血まみれの玉ねぎ”を生み出した伝説の持ち主の半田先生がここまでハマることからも”このもん”の破壊力は推して知るべしってね。
そもそも調味料の一つも持っていない先生が一体どうやってこのもん漬けたんだよって…まあ、なるの家から分けてもらったんだろうなぁ笑
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“じんじんこのもん”の作り方
なるのじいちゃんが半田先生に差し入れた”このもん”の作り方は単行本2巻の巻中付録で書かれています。
ここに書かれている内容を簡単にまとめると…
『ばらかもん』 ヨシノサツキ Act.9「このもん」 より引用
“大根を切って、干して、タレに漬け込む”。
うわ〜、簡単ですね…ということで、早速作っていきましょう。
“このもん”の材料
・大根:3kg
・醤油:1合
・酢:1合
・砂糖(三温糖):5合
第2巻の巻中に書かれた通りの分量です。ちなみに大根3kgは太めの大根なら2本分くらいですね。細めなら3本分くらいです。
砂糖はコクのある三温糖がオススメです。さっぱりした味がお好みなら、普通の上白糖の方が良いかもしれません。
“このもん”を作ってみよう!!
まずは、大根を適当な高さの円柱状に切り皮を剥きます。それから4分して”いちょう切り”にしていきます。あまり分厚くなりすぎないようにすると良いかも。
その上でざるに並べて干します。ただ、うちには小さいざるが3つしかなかったので、残りは平干し用の洗濯ネットを動員しました笑
ちょうどいいので、干し方による差を両者の時間経過比較で確かめてみることにしました。場所はほとんど一緒です。
で、5時間ほど干した後の大根がこんな感じです。風通しがあまり良くなかったのか、たいして水気も飛ばず…。なので、風通しの良い2階の窓辺に干す場所を移動して、さらに干してみます。
さらに3時間ほど干すと…。ざるで干した大根と洗濯ネットで干した大根、両者の間に顕著な違いが生じます。
ざるで干した方はほとんど水気が飛ばず、さらにざるを置いていた部分には濡れた後がつきました。
一方で、洗濯ネットで干した大根の方はといえば…相当に縮んでいるのがわかりますね。見た目としては1/3程度に、堆積的に言えば、だいたい元々の1/6程度まで減少します。
大根は乾燥させるほどに、水分(つけダレ)を吸収しやすく、同時に大根から出る水分でつけダレが薄まりにくくなります。また大根自体も干すことで、味が凝縮し甘みが増すので、しっかり干すに限ります。
大根を干している間につけダレを作ります。醤油、酢、砂糖を鍋に入れて、砂糖が溶けるまで加熱します。
ちなみに、当たり前のことですが見落としがちなこととして、お酢の成分である酢酸は揮発性の物質です。なので、加熱しすぎると”いわゆるお酢の酸っぱさ”が失われてしまいます。
お酢を後から加えるなどして、うまいこと酸味を調整すると良いかと思います。
つけダレの粗熱が取れた、大根も十分に干せたなら、漬け込みに移ります。干し大根を容器に移し、つけダレを注ぎます。そのまま2~3日漬け込みます。僕は少し刺激がほしかったので、輪切り唐辛子を二つかみほど加えています。
2~3日漬け込んだものがこちら↓になります。
全体にしっかりと染み渡っていますね。このくらいになれば、食べ頃かと。
“このもん”を作った感想
さてさて、今回は『ばらかもん』から、なるのじいちゃんの”このもん”を再現してみました。
それでは満を持して十分に漬かった”このもん”をいざ、実食!!
う〜ん、なかなか。いい感じの漬かりっぷりです。で、これは確かにうまい。というか、僕の場合元々お漬物が好きだということもあるのかもしれませんが、確かに止まらない。
甘ずっぱい感じがいいんでしょうね。ちなみに、個人的には唐辛子を入れるのはオススメです。
エピソード収録巻
“このもん”の作り方も収録!!半田先生の”このもん”中毒っぷりが見れるのは『ばらかもん』 第2巻 !!
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詳しく説明してくださってありがとうございます。このもん、作ってみたいです。
因みに酢の主成分の酢酸は確かに揮発性なので蒸発はしますが、沸点は113℃だったか118℃だったかそのあたりなので、水の方が先にどんどん蒸発していきます。酢酸も少しは蒸発しますが、蒸発する気体の殆どは水分子なので、濃度的には酢酸の濃度はより濃くなります。ので、むしろより酸っぱくなると思いますよ。ただ、絶対量としては酢酸は減るので、漬ける大根の量によっては後から酢を足したほうが良いかもですね。
なるほど、ありがとうございます。酢の沸点はかなり高いのですね。思っていたのと逆(酢酸の沸点は低いと思っていました)だったので驚きました。
確かにそうなると酢酸よりも水の方が飛びやすく”酢”という点ではより酸っぱくなるわけですね。全体としては砂糖や塩などの不揮発性物質に対する分量比としては酢酸の比率が下がるから酸っぱさを感じにくくなる、ということなのかな??ちなみにこの場合、砂糖なども大量に入っているので沸点はかなり上がりそうですが、そのあたりはどうなるのでしょう。少し気になるところです。